2014-10-25

2年半ぶり

気づけば2年半以上もブログを更新していなかった。

2012年はアフガニスタン、2013-14年はインドで、ずっと変わらず無電化地域でのソーラーライト普及に携わっている。特に、マイクロファイナンスなど、エンドユーザーファイナンスの活用を通したソーラーの普及に。

もっと現場のことを知りたくて、もっと直接役に立っている感触がほしくて、働き続けたこの2年半。気づけば、ずいぶんたくさんの出来事があった。

日々、現在進行形。もし今手がけているパートナー団体たちのプロジェクトが近い将来成功して、例えばケーススタディが書かれたとしても、きっと忘れられて、書きとめられることもない、数々のチャレンジ、悩み、決断。

ようやく落ち着いて、そいういう学びを振り返る心境になってきた。そして、興味を持ってくださる方々に共有したいという気持ちにも。

2012-02-09

3リットル、300リットル


アフガニスタンといえば乾燥し、荒涼とした大地のイメージ。
アフガニスタンに来るにあたって、まあ私もいつか水不足に悩まされるのだろうなあーと漠然と思っていた。
それがまさか、真冬に雪の中で水不足に苦しむことになるとは。。。

今年のカブールは例年以上の寒さと降雪に見舞われている。先週末に50センチくらい降った雪はまだ溶けない。というのも、その後晴天が続いているが、何しろ気温が低い。最低気温は-20度近くまで下がるし、最高気温もなかなか氷点下を越えない。しかも風が強いので体感気温は相当低い。

そして月曜日、ついに水道が完全に止まってしまった。家のどの蛇口をひねっても、一滴たりとも水が出ない。翌日も、その次の日も、今日に至るまで、まったく出ない。

だいぶ前になるが、
3リットル、300リットル、3,000リットル
という数字を聞いたことがある。

これら3つの数字はどれも日本人一人あたりの1日の水の消費量を表している。
3リットルが「飲料水」
300リットルが、「生活用水」
3,000リットルとは、「間接的に消費している水」・・・国内の農業用水・工業用水、そしてバーチャル・ウォーター輸入量を国民一人当たりに換算したもの。

地球環境問題の視点からいうと、最後の3,000リットルという大きな数字が問題になるわけなのだが(そして私も当時はそこに注目していたのだが)、ここ数日の私の関心は、前者2つ。
3リットルと300リットル。つまり、飲料水と生活用水。

飲み水は近所の雑貨屋でペットボトルを購入。

生活用水(つまり掃除、洗濯、トイレ、お風呂用)は、200メートルほど離れた道端にある手動ポンプ式の井戸からバケツに汲んできている。それを4階まで持って上がるのだから結構な重労働。汲みたての水は濁っているので、時間が経って泥や砂が沈殿してから使う。

苦労して手に入れた水。
このところ私が1日に使う水は、1リットルと10リットル程度。

そして日本の生活用水消費量1人当たり1日300リットルの数字に衝撃を覚える。

なんて恵まれた生活をしているのだろう、と。


慢性的な水不足に悩まされる土地に住む人たち、1日の大半を水汲みに費やさなければならない境遇にある人たち、これまでもメディアや本などで話には聞いていたけれど、実際に体験してみて、格段に深く、強く、近く、彼らの苦労と、事の重大さを感じる。もっとできることがあるのではないか。。。日本(や先進国)での当たり前は、世界的に見たら、まったく当たり前ではないのだ。


翌日から水道が止まった


2012-02-01

私の予定を決めるのはだあれ? -途上国都市型「晴耕雨読」の生活ー


ビジネス書籍・雑誌などで、スケジュール管理、タイムマネジメント術、自己管理術が頻繁に話題に上る。私もつい気になって手に取ることが多い。それぞれの書籍や著者によっていろいろ細かなコツはあると思うが、大筋のメッセージは、できるだけ規則正しく、ルーチン化することで要領良く時間を使いましょう、に集約されると思う。毎日やることは極力ルーチン化しておくことで手間と時間を減らし、その分クリエイティブなことにエネルギーを使う。

例えば、朝の1時間はメール処理に集中し、その後の時間はミーティング優先。スケジュール帳には30分単位で予定を書き込み、各予定の所要時間を可視化。すると、前の予定がだらだら延びてしまうのを防いだり、隙間時間に追加の予定を入れて効率的に動けるようになる、等々。まあ、10年以上も日本で社会人をやっていれば、意識せずとも染み付く生活習慣かもしれない。

翻って、今の私。カブールの生活には慣れてきたし、仕事もしているけれど、どうも「自分のペース」と言えるほどの「しっくり」感が持てない。特に仕事に関して。このところそれがずっともやもや気になっていたのだが、ようやく原因がわかってきた。

カブールはだいぶインフラが整ってきたとはいえ停電・断水は日常茶飯事。いつ停電するかはまったく予測不能。朝起きたら電気がないこともあれば(昨日のように)、昼間ずっと停電のこともあるし(今日のように)、夜寝る前のこともある。先日は寒さで水道管が凍ったのか、丸24時間水が出なかった。

つまり、お天道様ならぬ、電気と水道が今日の私の予定を決めているようなもの。電気がある間は(インターネットもつながるので)メールを書いたり、リサーチをする。停電してもしばらくはPCで書類作成。なお停電が続いていれば読書でもする。私のアパートは職場兼自宅(ホームオフィスというやつ)なので、水道がつながると、それ、今のうち!と急遽仕事を中断して洗濯をすることもある。

今年の冬は雪が多いそうで、それで交通が麻痺することもある。先週は雪のため空港が丸1日半封鎖されて、私も初日は空港でUターン、翌日は空港で10時間待ちを余儀なくされた。

移動手段は車だが、外国人女性が一人で運転するわけにもいかず(残念ながらそういう場所なんです。第一女性ドライバーを見たことがない)、周りに頼ることになる。友人の予定の合間を縫って、打ち合わせ先に送ってもらうので、調整に結構な手間がかかる。

そんなこんなで、とにかく予定通りに物事が進まない。いくら前日にTo Doリストを作っておいても、電気が止まったために何一つ片付かないことが多い。アメリカや中国の同僚と設定したSkype Callが停電のため流れたことが何度あったか。

私はそれで自分のアウトプットが落ちていると感じ、無意識のうちにストレスを溜めていたのだと思う。

でも「ちょっと待った。」

そもそも「私の予定をコントロールするのは私。」という(日本では当たり前だった)前提は、果たしてここアフガニスタンでは妥当なのか?

アフガニスタン人と話していて、「次はいつ会いましょうか?」と聞くと「うーん、インシャーアッラー、来週の月曜日かな。」などと答えが返ってくることが多い。インシャーアッラー、つまり「神様が望むなら」。決めるのは「自分」ではないのだ。

カブールで2ヶ月過ごしてみて、私も次第にそんな心境になってきた。不確実な要素がこんなにも多い環境では、工程表も、To Doリストも、ただの紙切れになる可能性が高い。

重要なのは、目指すゴールを忘れないこと。譲れないポイント、本質的な優先順位を忘れないこと。そういう意味ではつねに鋭敏に。

一方で、具体的なアクションはある程度まとめて、ゆったり捉えればいい。1週間、あるいは1ヶ月という時間の塊でつじつまを合わせよう。物事の順序とタイミングは常に変わる。神経を使うポイントではない。

晴れたら畑を耕し、雨が降ったら本を読む。

電気が来たら仕事をし、水が来たら家事をする。

これが途上国都市型(少なくともカブール型)晴耕雨読の生活也。

大雪のあとの外回り日和

2012-01-27

ドバイビジネス事情

ドバイに行ってきました。
目的はアフガニスタンビザの更新。
(いろいろ理由があるらしくアフガニスタン国内では延長できないと言われ、いったん国外に出て取得し直すことになったという訳。)

ドバイでは当地に住むアフガン人にお世話になりました。ついでにソーラーライトの営業も手伝ってもらいました。(笑)

その際の発見。

1)ドバイのオートパーツ屋(新品・中古とも)は軒並みアフガニスタン人が経営している。
ドバイ市に隣接するSharjahに、見渡す限りオートパーツ屋が広がる一帯がある。みんなアフガン人の店だ。

2)ちょっとまとまった規模でビジネスしているアフガン人はたいていドバイに来ている。
ドバイには世界各地からモノが集まるので、ここであれこれ大量に買い付けて、アフガニスタンに送るとのこと。

3)これはアフガン人に限らず、ドバイで一般的なようだが、とにかく現金取引。掛けでの売買はしない。ドバイは中近東、中央アジア、インド、アフリカなどから大勢のビジネスマンが集まってくるが、その分(?)騙されることも多いらしい。お金を払ったのにモノを受け取れないケースがよくあるとのこと。なので、基本的にドバイに在庫がないと誰も買わない。
ショッピングモールを歩いているだけでは見えないドバイの一面でした。

世界一高いビル Burj Khalifa

卸売街の裏道

2012-01-22

雪のカブールで「足りない生活」を振り返る

今朝ドバイに飛ぶはずだったのに、結局カブールの自宅で夜を迎えた。昨晩からの雪で滑走路は封鎖。全便キャンセルだそうだ。

よりによって今日はこの冬一、二を争うほどの悪天候。停電時間も一番長かった。私の住むKarte Charという地域は通常電力事情は良くて(噂によると大物政治家が住んでいるからだとか)、周辺地域が停電しているときでも滅多に停電しない。切れても10分も待てば戻ってくる。

それなのに今回はひどい。昨晩11時から今朝7時まで停電し、2時間後には再び停電。気にせず仕事をしようにも、PCの充電にも限界がある。プロポーザル作成を中途半端なところで切り上げ、読書に方向転換。電気ストーブも使えないので、やや非力なガスストーブと毛布でなんとか体を温める。(それでも息は白い!)

今日ほどではないにしても、カブールでの生活は常に何かしら足りない状態だ。停電が終わっても、インターネット回線は落ちたままだったり、水道はほぼ毎日昼間止まっているし、検問や工事で道路が大渋滞だったり、キリがない。

日本での仕事のペースを思い出すと、今とのギャップがあまりにも大きくて、ときどき(しばしば、かも)ストレスを感じる。「私、こんなんでいいのか?!」と。もう日本のペースで働けないかも、と焦ることもある。

でも結論としてたどり着くのは、そんなストレスは無用だということ。

日本で「忙しそうに」働いているように見えても、必ずしも効率が良いわけではないし、些末な事柄にとらわれていて時間がかかっている、ということもある。

今自分が身を置いている土地特有の時間の流れを感じとり、上手に身を任せ、好機を捉える。そして、費やした時間ではなく、いかに本質を見極めるかで勝負しよう。カブールでの生活はそんな力を鍛えるのに恰好の機会。

降雪の翌日・晴れた日のカブール


2012-01-06

Electrification in Afghanistan


Life in Kabul is probably much more comfortable than any other parts of the country.
I say this because of the fact that electricity is widely available here in Kabul (though with frequent blackouts).

In Kabul and other major cities, 70% of the population is said to have access to electricity. Even the countless mud houses on the hill (which were originally illegal) now get grid electricity.

In Kabul, 70% of people have access to electricity - including those houses on the hills.

But if you look at Afghanistan as a whole, only 15% does. It means only 3 million live with electricity at home, while remaining 25 million depends on traditional fuels like kerosene for lighting, wood stove for cooking.

Many projects are going on within the country in order to improve the country’s power supply, including building new hydro power plants, purchasing more power from neighboring countries – Uzbekistan and Tajikistan, building transmission lines as well as distribution network in urban area.

The Afghanistan government (and international donors such as World Bank, ADB, USAID) has a target of providing access to electricity to 30-40% of the population in the next 15 years. The plan is to build a big circle of major transmission line that connects major cities in north, east, south, and west of Afghanistan. Smaller cities and towns along the transmission line will be connected to the grid, but not the ones away from the line.

Yes, after all these huge infrastructure projects, still, 60-70% of Afghans will get access to electricity. Considering the country’s power sector has never been able to serve any more than 20% of its people, this may be an ambitious goal. However, I want to urge the government and donors to take measures to address the difficulties faced by the off-grid populations. Not through random projects to give out solar home systems here and there, but 5, 10 year plan to gradually but steadily decrease the number.



2011-12-25

アフガン流ミーティング

どうも、アフガニスタンでは1日に3、4件もアポをこなすのは難しいらしい。
午前中1件、午後1件がせいぜいだ。

今日なんて、10時から打ち合わせが、終わってみれば3時近く。
といっても、その間ずっと真面目に仕事の話をしている訳ではない。。。

例えばこんな具合。

10時~11時半 打ち合わせ

ぜひお昼ご飯を食べていって、と誘われる。

11時半~13時 お茶&雑談

まだ、ご飯が出てこない。(笑)
仕方がないので、一緒にテレビを見始める。

14時 お昼ご飯!

15時 帰宅

というわけ。

さすがにこんなに長居しては迷惑だろうと、途中何度も帰ろうとしたのだけれど、「何言ってるんだ、気にしないで。」とそのたびに引き留められる。

偶然知り合っただけなのに、なんでこんなに親切なんでしょう。
「袖触れ合うも他生の縁」とはイスラム教では言わないでしょうが、ご縁を大切にしているのかも。
感謝。

ソーラーパネルがテーブルに!