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2011-06-01

「包み込む力」と「分断する力」

このところ、どうも仕事で調子が出なくて、モヤモヤとしていたのですが、何が気になっているのかようやく言葉になりそうです。

インドは、雑多なものがごちゃまぜに存在している場所です。富める者も貧しい者も、ヒンドゥー教徒もイスラム教徒も、ベンツもオートリキシャも、ヨガもジムも、IT産業も、昔ながらの洗濯屋さんも。超高級ホテルも、川岸での沐浴も。。。時間の流れがねじ曲がってしまったかのような、何もかもを包み込んでしまう懐の深さに惹かれます。

一方、企業の組織構造やマインドセット、慣習などを見ると、役割を細分化し、明確に切り分け、互いに干渉しあわないのがよしとされる傾向強し。時には非協力的にさえ感じるほど。放っておくと、各部署・担当者がてんでばらばらの方向に動き出すこともある。特にここ数週間は、人が増えたせいか会社の中の分業度合が高まっていて、微妙に居心地が悪い。

ただ、半年間働いてみて、しかも大勢を巻き込んで結果を出すためには、担当分野を細かく分割して、それぞれが役割を果たすべく邁進する必要がある、というのも経験済み。悪いことばかりではないんですよね。。。


インドという国、そしてインドに住む人たちは、この矛盾とどう折り合いをつけて生きているのだろう?不思議。



「一つにまとめる(包み込む)力」と「細かく分断する力」を右足と左足とするならば、私は今、どちらをどう動かしたらスムーズに前に進めるのか、混乱して、よろめいている状態なのかもしれない。


・・・などと、昨年読んだ『未来を変えるためにほんとうに必要なこと』(アダム・カヘン著 英治出版)を思い出しながら、一人思い当った次第。

次の一歩をどう踏み出したものか、まだわからないのですが。。。

まあ、私のインド人の同僚たちは、おそらく「気にしない、気にしない。Go with the flow」って言うのだろうなあ。

2011-04-26

パンジャブ州あれこれ

出張もいよいよ終わりという今になってパンジャブ州の紹介をするのも変ですが、せっかくの機会なので。

パンジャブ州はパキスタンと国境を接するインド北西に位置します。(パキスタン側にもパンジャブ州があります。)
面積は小さいですが、イ ンドの中でも豊かな土地として知られています。パンジャブの語源は5つの川という意味だそうで、州内を流れる、5つの川の恵みで肥沃な土壌が広がっていま す。インドの小麦生産量の約20%がパンジャブ州からです。他にも綿花、米などが有名です。インド国内(ビハール、オリッサなど比較的貧しい州)から出稼 ぎにくる人たちも多いそうです。

インドで一番ベンツ所有台数が多い州だとか、
農家の息子は働きに出なくても生活に困らないけど、肩書きが無職だとお嫁さんをもらえないから腰掛け程度の気持ちで働きにくるとか。
どこまで本当かわかりませんが、こうしたパンジャブ出身の同僚談もあながち嘘ではなさそうです。

実際街でも携帯、バイク、乗用車など確かに新しいもの、価格の高いものを持っているひとが多い。先月デリーからアムリッツァルへの便に乗った際には、(30人くらいの小さなフライトでしたけど) iPhoneを持っているひとが半分くらいいて驚きました。

ところで、何が理由かわかりませんが、車のスピードが非常に早く、助手席に乗ると毎回ハラハラして寿命が縮まる思いです。まだ始まったばかりの救急車オペレーションですが、やはり交通事故が理由の救急車出動が一番多いです。

ターバンが印象的なシーク教徒が人口の7割近くを占めるのですが、ヒンドゥーやムスリムと違いお酒を飲む人が多くいます。
その結果、飲酒運転も。日本のように取り締まりが厳しくないので、交通事故を誘発すること必至。

それどころか病院の医師も夜は酔払っていることがあるとか。。。

2011-04-25

インド企業でのサバイバルコミュニケーション術

パンジャブ州でのオペレーション立ち上げのために、ほぼ2ヶ月パンジャブ州に出張していますが、この間にインド流職場コミュニケーションにずいぶん慣れました。
もまれた、、、というべきかも。
プロジェクトの期限が迫り、多数の人間が入り乱れる中で いかに思い通りに物事を動かすか。(まあそもそも思い通りになんかならないのですが。)

過去にもインドのパートナーとやりとりしていたけれど、あれはほんの序ノ口だったなと思います。
今回は時間的制約もあり、周囲は現場のオペレーションを担う威勢のいい面々が多かったこともあり、だいぶ荒っぽい日々でした。

当然のことながら(!!)、一度言っただけでは相手は動かない。
強く主張したつもりでも、何も起こらない。
まるで誰も何も聞こえなかったように。

途中で1298のCEOともこの話をしました。
私と同年代の彼女は、インド生まれインド育ちのインド人。普段から大きな声で怒鳴ったり、電話口で取引先に向かってキレていたり、血の気の多い人だ、、、と思っていたら、CEOになってから必要に迫られてこうなったのよ、笑って言いました。
なんと、インド人でもそうなんだ、しかも生まれつきの性格でもないんだ、と思ったら気が軽くなって(?)、吹っ切れましたね。

おかげで途中からは遠慮なく、主張させていただきました。
あるとき、ふと気がついたら、オフィスのみんなの顔がひきつっていて、あらま、やりすぎたか、と反省したことも。
でも仕事にはプラスです。

以下、今回の日々を通して私が個人的に学んだこと。

< その1 >
欲しいものは主張しなければ得られない。

しかも、繰り返し主張しなければならない。
後入れ先出し が普通 なので、頻繁にリマインドしておかないと簡単に忘れられてしまう。

例えば、お願いした作業が終わったとの連絡が来ない。あまり急かすのも悪いなあと思う必要なし。9割方、忘れられている。

まずはメールで連絡して、りマインドのメールを出して、といった段階を踏むのもあまり意味なし。(このギャップにはアメリカ人のほうが戸惑っていたようです。)
基本電話で話さないと動かない。
考えるより前に携帯を手に取る。
メールは後で言った言わないの論争を防ぐための証拠として使う。


< その2 >
怒っておかないと、真面目に取り合ってくれない。

日本の感覚だと「相当面倒なうるさいクレーマー」くらいの勢いで自分が求めるものを主張する。「今日までにやると言ったのに、まだできていないのはどうして!! 今すぐやって!」と大声で怒鳴る。

そうすると、パタパタっと物事が動く。
目的達成。
なんだけど、「あー、私ってばなんて性格悪いのかしら」としばし自己嫌悪に陥ります。
言われた相手の方は仕事の遅延を悪びれるでもなく、怒られたことに腹を立てるでもなく、次の瞬間には何もなかったようにニコニコ。

相手の気持ちを推し量って気を遣うけど、それはあまり通用しない。現場スタッフになればなるほどむしろまずストレートに伝えて、そこから調整していく感じ。

早い段階で、ガツンと言っておくと、「この人は騙せない、見逃してくれない」とインプットされて指示されたことはちゃんとやらないとまずいな、と思うようです。

、、、といってもすぐ忘れちゃう人が多いので、気を抜けないんですが。
(というか、あまり怒ってばかりいると相手も慣れてきて効き目が薄くなるような。。。イタチごっこです。)


< その3 >
部下からリアルな返事を引き出すのは一苦労。


部下は言われたことをできないとわかっていても、上司にできませんとは言わない。
言ってくれればスケジュールを見直すことができて、あとでビックリ大慌てすることもなかったのに、、、と思うことしばしば。
あんなに口数の多い人たちなのに、上司には反論どころか提案もなかなか持ち出さない。

例えば「月曜日までにできる?」と聞くと、できないと答えたくないから、「はい。」と答える。
代わりに具体的に質問していく。
「XXするには何日かかる?」「次に何をする?」「それには何日かかる?」
といった具合に。その流れで
「え、月曜に間に合わないんじゃない?」というと、

「うん。間に合わない。」との答え。
 ずっこけますけど、こういうときは頭ごなしに怒っても解決しないので忍耐、忍耐。


叱りつけたり、大声でまくしたてたり、できればやりたくない。
指示/命令するより、部下から自発的に行動が生まれるように動機づけし、エンパワーしたい。

でもそれがいつも効果を上げるとは限らないんですね。
ときには、パワーを行使することも必要。



エネルギーは消耗するし、血圧は上がるし(!)。
私はまだ切り分けがうまくできず、ブルーな気分になることがしばしばです。
パーソナルに受け取っては心が持たない。
心で怒るのではなくて、頭だけで怒るようにしようと心がけています。

それにしても、ここで挙げたような事例って日本でも程度の差はあれ、当てはまることがあると思います。文化は違えど、人の心理は共通なんでしょうね。

でも日本に帰ったときにはあまりやりすぎないように気をつけなきゃ。

2011-03-30

Get frustrated? Or move forward!!


I took this picture on March 19. 

 












Less than 2 weeks to the launch, and only 4 days to the start of the training, our control and dispatch center (CDC) looked like this.  No desk, no chair, not even a ceiling!! We’ve planned, started working on it way in advance… yet, this is the reality in front of me.

On March 22, it looks slightly better, yet far from completion….

The next day is the scheduled 1st day of training. 50 CDC executives are waiting for the training!
A few of my colleagues and I literally held our head down, held our hands up, walked around the room restlessly.








… And came up with an idea!

The solution is this…

25 people in one small room where previously only 5 of us were sitting. 3 people share one PC and one chair (bench).  Temperature was above 30 Celsius, no AC, only with fans. Someone described this looks like sardines!
Although the room was not perfect, hardware is brand new, software is also new, developed based on Ziqitza’s expertise. I guess it would not have worked in the places like U.S. or Japan where people are used to more spacious, well-prepared office space. Thanks to our patient colleagues at Ziqitza, it worked!

There is no doubt that a plan is essential in a project.
At the same time, there is no doubt (especially in a place like India) that the plan does not go as planned!

It is frustrating to see things are not moving and time is running out. But, you cannot stand still and remain frustrated. Then your frustration simply goes up. Rather, what I can do is to keep moving forward. The result may not look as elegant as planned, but as long as one takes one or even half step, the project will move forward. 

And finally.... on the due date, the place looked like this.














Things do happen, if we keep moving forward.Right?



2011-03-22

Ambulance crew training in full scale

At 8:45am, a little bit anxious and very much curious, I reached a training center.


























Today almost 200 people gathered at our temporary training center in Amritsar, Punjab, India.  Medical training has been going on for EMT (Emergency Medical Technician) since January, and finally this week drivers and call center personnel have joined for their operational training. By the end of this week, the number will go up to 450.
I have been coordinating with concerned departments, instructors and other experts to prepare for all the training programs that were scheduled to happen in the next 10 days.


In the afternoon, I stopped by at a driver’s session.  The room was hot partly due to strong sunlight from outside and partly due to the enthusiastic energy emitted from 60 drivers.














As in other states where Ziqitza operates, all ambulances in Punjab will also be equipped with GPS and mobile data terminal. This will be a major tool of communication between ambulance crew and CDC (control and dispatch center).















My colleague and I gave a series of training sessions to our field managers for operation and IT on previous days. Today, they are the teachers who would give training to drivers.  As I sat in the room and observed the session, I felt excited and confident. With the world class IT infrastructure and the power of the people, we will make this operation the best in the country... and in the developing world (as Ziqitza's mission statement claims!).





2011-02-21

パンジャブ州プロジェクト本格化

1月初めにSOPプロジェクトについて紹介したが、実はあの後間もなく同プロジェクトはお預け状態になった。私も、社内の主要メンバーも、3月末に迫るパンジャブ州でのサービス開始に集中するためである。

ターゲットは3月31日。その日、パンジャブ州アムリッツァルで州内全域から「108」への電話を受け付けるコールセンターが稼働し、救急車は各地での患者搬送業務を開始する予定。

Xデーまであと1か月強。
プロジェクトは、いよいよ1日も無駄にできない段階に入ったといっていい。

パンジャブ州プロジェクトでの私の役割はいくつかあって、
1)プロジェクト管理サポート
2)研修コーディネート
3)救急車業務手順、ツールの整備
4)コールセンターおよびGPSソフトウェア開発(の監督)

(・・・と、書き出してみたら随分多い気がするが、コアになっている4-5人はみんなこんな感じなのです。)

他は別の機会に譲るとして、今回は1)プロジェクト管理サポート で気づいたことについて書こうと思う。

このプロジェクトは、PPPモデルで、パンジャブ州政府から受託した救急車事業をセットアップし、運営する事業。初期費用・運営費用ともに契約に基づいてパンジャブ州政府から提供される。

ただし、機材から人材から、何もかも手配するのは我々の仕事。ゆえにタスクは、オフィススペースの整備から、車両購入、車両の内装工事(救急車用にいろいろ専用の処理が必要なのです)、108電話回線のセットアップ、採用、救命救急研修、、、、と非常に多岐に渡る。

ものによっては数か月の準備期間が必要な場合もあり、数名はすでにパンジャブ州アムリッツァルに張り付いて着々と準備を進めていたが、ここから1か月は、より多くのメンバーの綿密な連携と、スピードが不可欠なため、プロジェクト管理をテコ入れすることになった次第。

これまでCEOが一人で統括していたところに私がサポートとして加わり、抜け漏れがないよう、ステップを整理し、進捗管理およびイシュー管理をルーチン化した。

  1. スケジュールを引き、一つのスケジュール表を共有(これまではバラバラ)
  2. 役割分担も同様
  3. 日次でのステータス確認
  4. 課題、懸案事項のフォローアップ
プロジェクト管理はどこの国、組織のプロジェクトでも必要だし、当たり前のことなのにうまいかなかったりする。ただ、今回やはりお国柄なのか、日本とは少し異なる、インドならではの傾向があると感じている。

まず、相対的にインドのほうが(日本に比べて)得意だと感じる分野:
  • ある程度分割されて、Specificになっているタスクを処理するのは早い。
  • フットワークが軽い。(アサインされてから最初の一歩を踏み出すまでの時間が短い。)
  • 外部のリソースをどんどん使うので、自社にノウハウがなかったり、人員が足りなくても、大きな障害にならず、素早く事が進む
逆に不得意だと感じる点:
  • タスク間、チーム間での関係性(依存関係)に対する意識が低い(←自分の担当分野のみ見ている&あくまでも自分の知っていることが正だと信じている・・・他の可能性をあまり考えないみたい。)
  • イシューは上から聞かれるまで言わないことが多い
  • イシューの解決策を指示しても、フォローアップしないと対応されていないことがある
  • 解決策は具体的に指示しないと、実は理解していないことがある
ま、不得意として挙げた点は、日本でもよくあることかもしれませんね。。。

時間的制約の面でも、規模の面でも、そしてコミュニケーションスキルの面でも、プロマネスキル向上の機会に恵まれたと思います。(まだまだ本番はこれからですが!)


2011-02-16

インド 採用風景

ここ(1298) では採用の様子を横で見ることも多い。
オフィスの会議室で面接が行われたり、隣の席で電話インタビューが行われていたり。

その成り行きも、文化/社会構造を反映している。
私が今まで経験した、日本での面接とも、アメリカでの面接とも違う。

まず一番驚いたのが、最初の質問。
ほぼすべてのケースで、" ご家族について教えてください。" で始まるのだ。
父親はどこで何をやっていて、とか、
妻は主婦で、子供は息子(X歳)と娘(X歳)のふたりで、、、とか。
私の見る限り (少なくともこの会社では)その答えによって採用を判断してはいないようだが、会話をスタートし、その人物を理解する第一歩として欠かせないらしい。

次に驚いたのは、親が面接に同行してくるケース。
私が遭遇したのは若い女性の場合だったが、父親が一緒に来て、面接中ずっと隣に座っていた。
とはいえ、娘を売り込むわけでもなく、ただそこにいるだけだったけれど。。。会社側もさして気にしていなかった様子。
過保護というような話ではなく、私生活と職場の垣根が低いのだろうと思う。
(従業員にしても、お互いの家族同士が面識あったりするから。日本より割合が高い。)

もうひとつの発見は、レファレンスチェックが厳しく行われている点。
卒業した学校や過去に勤務していた会社に問い合わせるのは基本で、さらに知り合いをたどっていって過去の上司、同僚などから評判を聞くことが多い。
人と人のつながりで成り立っている社会なのだと改めて気づかされる。

(ちなみに、履歴書の学歴や資格を偽る人が多いというのも、レファレンスチェックを重視する理由のひとつ。)


2011-02-12

ITシステム選定


1月の間かかりきりだったITシステム選定。今週ようやく決まった。

指令室(救急車コールセンター)用のソフトウェアと、救急車搭載GPS/PDA端末。インドとUSの企業を中心に20社くらいはあたっただろうか。

携帯コールセンター、タクシー会社のコールセンター、警察のコールセンター(つまり110)等、あれこれソフトウェアを見比べた。USの救急車用ソフトウェアも。

インドでは州政府による救急車普及がようやく期待できるようになり、ビジネスチャンスと見ているIT企業複数。アプローチ多し。現時点でソフトウェアが存在しないのに自信満々で営業をかけてくる企業もあった。。

救急車にぴったりマッチする既存ソフトはないけれど、他セクターの業務(&それをサポートするシステム)から学べる。コールセンターと配車はタクシー会社のシステム、車両GPSトラッキングや燃料管理は物流会社、救急車内の薬管理はコンビニの在庫補充プロセスから。

日本の救急車オペレーションや物流会社の最新動向はわからないのだけど、インドでの輸送業務をめぐるIT活用を見ていると、これもLeapfrog(かえる跳び)による成長なのかなと思ったりする。

選定の過程で、創設者たちのポリシーを垣間見ることができた。
それは世界最高水準を目指す、ということ。

自分たちはインド(ひいては途上国全体)における救急車サービスモデルを作り上げているとの自負がある。
そのモデルは、決して " 安かろう、悪かろう " ではない。
安くて良いものを提供するのだ。

妥協や諦めからスタートするのではない。
最初から見ているのは世界一。

2011-02-08

ラジャスタンチームからパンジャブチームへ知の伝達


先週土曜日から今週火曜日にかけて、ラジャスタン州ジャイプールに出張した
目的はパンジャブチームの研修。

Ziqitzaでは、3月末にパンジャブ州での救急車オペレーション開始を予定している。(パンジャブ州政府とのPPPによるもので、Ziqitzaは州政府の救急車サービス(番号は108)の運営をむこう5年間受託した。)

年末あたりからパンジャブチームの採用活動がはじまり、2月はじめに、救急車スタッフを統括するオペレーションマネージャーや、啓蒙活動を担当するマーケティングマネージャーが入社。

今回はチームの核となる彼らのために、4日間の研修を企画た。

パキスタンとの国境に近いパンジャブ州アムリッツァルから、列車とバスを乗り継ぎ、ジャイプールまで片道2日。
そうまでして彼らに来てもらったのは、やはり、百聞は一見に如かず、だから。
電話の鳴り止まないコールセンター現場で日々奮闘するマネージャーの体験談、さらには救急車の中を見たり運転手と話したり。

既に稼働しているラジャスタンでのオペレーションを見たことで、パンジャブチームは大いに刺激を受けた様子。ラジャスタンチームとのミーティングは予定時間をはるかにオーバーそれでもまだ話足りず遅い夕食のあとパンジャブチームだけで夜中まで作戦会議をしていたようだ。

2010年7月にスタートしたラジャスタン州での事業。救急車の台数も多く(現在214台)、地理的に分散していることもあり、当初は大変な苦労があったようだ。軌道に乗った今、そのときの学びを惜しみなく新チーム(パンジャブチーム)と共有してくれた。

この研修に限らず、パンジャブ州プロジェクトにおける私の役割は、社内の各人の中に蓄積されている学びを掘り出し、体系化し、新メンバーに提供する仕組みを用意することだと思っている。

今まで毎回Trial&Errorで地域を拡大してきたが、今回ノウハウをまとめられれば、次の州に進出するとき、 より円滑かつ短期間に、高品質のサービスを立ち上げられるようになるだろう。スケールアップの好循環がこうして生まれる。

2011-01-04

SOPプロジェクト始動

前回書いたようにZiqitza Health Careには2つのサービスラインがあり、私は当面その一つ「108」(州政府とのPPPモデル)に専念することになりました。

同社は現在3つの州で州政府の救急車サービスを受託しています。驚くべきことに、これらすべて2010年に稼働したのです。すべての土地で、従業員を一から雇い、サービスを立ち上げました。ここまではとにかく立ち上げて軌道に乗せるのが精一杯だったのですが、少し落ち着いたこともあり、標準的な業務手順(Standard Operation Procedure)を整備することにすることになった次第です。オペレーションを標準化することで、各地での品質を担保するとともに、新規エリアでの迅速なサービス開始にも活かしたいとのニーズによるものです。

 3月半ばに控えたパンジャブ州でのサービス稼働に間に合わせるのが当面のターゲット。2月のトレーニングで新業務手順を周知していきます。12月は、その第1ステップとして、私が既存3拠点(ケララ州トリヴァンドラム、ビハール州パトナ、ラジャスタン州ジャイプール)を1週間ずつ訪問し、現状のオペレーションをヒアリングして回りました。ヒアリング対象は、コールセンター、救急車フィールドスタッフ/マネージャー、保守、(医薬品)在庫管理、医師、IT、人事、経理、財務等、主要機能をほとんど網羅。当プロジェクトは現在のところ、CEO直轄で、専任は私1名と手薄ですが、徐々に各部門と連携し、分担・協業していく予定。(そうでないととても無理!)

業務ヒアリング、業務設計・改善などのプロジェクトは、幸いコンサルティング会社勤務時に何度も経験しているため、業界・国は違えども、勝手が分かっていて取り掛かりやすいと感じました。また、フィールドアサインメント期間中の自分のテーマの一つとして、できるだけ多くの従業員に会うことを挙げていたので、個人的にも願ったり叶ったりのアサインメントになりました。

具体的なエピソード、気づきはこれからご紹介していこうと思います。お楽しみに。

トリヴァンドラムのオフィススタッフと。

 

2011-01-03

アキュメンファンド投資先:1298について

   NYで2か月間研修を受けた後、11月半ばからインド・ムンバイに拠点があるアキュメンファンドの投資先「1298」で働いています。ムンバイでの生活に慣れたかと思ったら、12月は8割方出張していて、なんだかあっという間に2か月が過ぎようとしていることに気づき驚いています。

1298が進出しているインド各地での体験には追々触れるとして、まず全体像をご紹介しておきます。

Ambulance for All を合言葉に、5人の起業家によって2004年に救急車2台で設立された営利企業。急速に規模を拡大し、現在従業員約1,500人、救急車は500台を目前にしています。

ちなみに、1298 (英語ではそのままOne two nine eightと読みます)というのは正式な会社名ではありません。この会社が使っている救急車の呼出し番号(日本だったら119)が1298なので、ブランディングの都合上、1298を多用しています。ただし、口述するように、1298番以外の番号でのサービスも始めているので、最近は正式社名Ziqitza Health Care Ltd.(ズィキッツァと読みます)を目にすることが増えてきました。

Ziqitzaの救急車サービスは大きく2つに分けられます。

1)単独民間事業・・・Dial 1298 for Ambulance

同社単体で民間事業として救急車サービスを提供。個人あるいは病院からの呼出しを受け、出動します。救命救急に限らず、転院等の緊急ではない患者の移動にも対応。(サービス名にEmergencyが入っていないことに注目。)有料制。特徴は価格体系。救急車のタイプによって2種類の価格があり、さらに患者の経済力によって2種類の価格が設定されています。(ALS: advanced life support, BLS: basic life support)


ALS
BLS
私立病院
      
      
公立病院
      
      
事故
無料

患者の経済力をどのように判断するか。これは、患者が指定する行先の病院が、私立であれば全額請求、公立であれば割引額を請求、という仕組み。インドでは公立病院は無料だがその分クオリティが悪く、お金に少しでも余裕のある人は私立病院を選ぶという事情を踏まえて設定されたとのこと。ちなみに事故の被害者は無料で搬送されます。

 現在はムンバイ市、ケララ州コーチン市で稼働しています。2008年11月26日のムンバイテロでは、1298の救急車がTajホテルにいち早くかけつけ、ホテル内から生存者を救出する様子がTVにも映っていました。


2)州政府とのPPP(官民連携)・・・Dial 108 in Emergency

インドでも徐々に州政府が救急車派遣体制を充実させようとしつつあります。中央政府から割り当てられるNational Rural Health Mission (NRHM)の予算を使っていることが多いようです。Ziqitzaもいくつかの州で入札を経て契約を勝ち取りました。(賄賂・汚職と戦う姿勢を貫く、といった意味で同社の姿勢は注目を浴びていたりもします。)

こちらは名前のとおり、Emergency(緊急)時のみの対応。1298で行っているような転院などの緊急以外の患者搬送は行っていません。呼出し番号は108。(政府だと3桁の番号が使えるんですね。)
救急車導入台数は州によってまちまちです。

州政府からの受託状況
稼働台数
サービス開始
ケララ州
(トリヴァンドラムのみ)
25台
2010年5月
ビハール州
55台
2010年9月
ラジャスタン州
189台
2010年7月
パンジャブ州
150台
2011月3月予定

どの州も今後さらに救急車を補充することを計画しているそうです。ラジャスタン州は2012年までに450台まで拡大すると表明しています。

さらにサービス体系も州政府が決めるため、州によって異なります。例えば、ビハール州では、利用者も費用を一部負担します。その他の3州では完全に無料です。また、救急車の装備にも若干の差があります。

州政府の契約を獲得するメリットは、(1)固定した収入源の確保、(2)自己資金による設備投資不要(契約による)、(3)農村部へのサービス提供が可能になる、といった点です。

もちろんこれですべてがバラ色になるわけではなく、苦労も伴います。(まず入札から契約に至る過程には大変な苦労がありそうですが、現時点では私はまだよく理解していないため、この件については別の機会にします。)まったくのゼロから一気に100台以上の運営を立ち上げなければならないし、政府相手の折衝や報告は労力を伴います。時間もかかります。一方で契約期間は2,3年のケースがほとんどのため、常にその先を気にしていなければならない。

オペレーションレベルでは、やはり人材育成が大きな課題です。救急車の運転手はトラックの運転手とは違います。人の命を預かる者として、高い倫理感と品質へのこだわりが求められます。ただ、みんながみんなそういう意識を持っているかというと、なかなか難しい。しかも遠隔地担当の救急車となれば、マネージャーが運転手らスタッフと直接顔を合わせる機会も限られます。この課題については、今後私も深くかかわることになりそうなので、引き続きレポートしたいと思います。

以上、まずは私が9か月間働くアキュメンの投資先「1298」の概要でした。

ムンバイで稼働中の救急車

ケララ州政府とのPPPによる108救急車。運転手、救命救急士と。