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2010-09-15

民間が公共サービスの「成功モデル」を作る

ガイア・イニシアティブのインドでのパートナーの一つに、Bharti Foundation(インド携帯最大手エアテルが母体の財団)があります。同財団は、教育分野に集中して活動しており、現在北インドを中心に約240校の小学校を運営しています。今回のスタディツアーでは農村部の教育現場も紹介したいと考え、彼らの小学校訪問もプログラムの中に盛り込みました。

学校を建設運営している非営利団体はインドに限らず途上国に多々ありますが、バルティ財団のアプローチはちょっと変わっています。

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その前に背景を少し書くと・・・
インドでは、小学校入学率は95%まで上昇しているものの、それでも学校に行けない子どもが1,000万人以上おり、
その68%は一度も学校に行ったことがないといわれています。
また、小学校に入学しても3分の一の児童が小学校卒業前に退学してしまいます。
中退してしまうために、6-10才の児童のうち、約4,200万人が学校に通っていないと言われています。
※出典:UNICEF、UN

課題は教える側にも、教えられる側にもあります。
すなわち、前者に関して言えば、公立(州立)の小学校は農村部でも箱としては存在しています。教師も割り当てられています。しかしその教師たちの多くが出勤しなかったり、来てもやる気がないのだそうです。
後者は、やはり貧しい家庭では子どもも働き手となってしまうという現実があります。
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バルティ財団は考えました。
“機能する”小学校運営とはどんなものだろうか?
どうしたら“機能する”初等教育を、この国に普及させられるだろうか?

一財団でありながら、彼らが考えているのは「国づくり」。
ただし彼らは自分たちだけでインドという巨大な国の初等教育を作ろう・変えようとしている訳ではありません。
計画はこうです。
バルティ財団は、小学校500校と中学校100校を運営します。(現在はまだその途上。あと数年かけて増やすそうです。)運営には企業経営経験者が加わり、カリキュラム開発や教員育成は教育の専門家がアドバイスしています。

上記規模で(経済的にも、そして教育の内容としても)“機能する”モデルが出来たら、それを州政府や他の民間機関に横展開してもらおうと考えています。

(現在でさえ、近隣の州立小学校から評判を聞きつけて先生たちが、やり方を教えてほしいと訪ねてくることがあり、教材やノウハウなど率先して共有しているそうです。)

公共サービスの成功モデルをまずは民間主導で作る。

分野は違えど、Acumen Fundのアプローチと共通する考え方です。

幸いにも公共サービス、基本インフラが整っている日本ではなかなか考えられないことですが、こうした民間・ビジネスアプローチの活用が主流になってくるのかもしれません。

2010-08-10

私たちはなぜスラムや貧しい村に行くのか?

ケニアの青年Kennedy OdedeがNY Times(2010/8/9)に寄稿した文章。




スラムドッグミリオネア以降、インドのスラム見学ツアーも増えているようです。

Kennedyの住むケニアでも。


「貧困削減のために何かしたい」と先進国から次々とやってくる人々。

でも、どれだけの人が戻ってくるか?行動に移すか?

それは大きな疑問。


彼は言います:

"Slum tourism is a one-way street: They get photos; we lose a piece of our dignity."


東京ガスのガスパッチョのCMを見ると、いつもドキっとします。

外人のツアー客がずかずか家の中に入ってきて、写真を撮ったり、歓声を上げるというもの。

インドの村でこんな風に思われてないよね?!って。


ガイアでもインドの農村へのスタディツアーを行っていますが、これには本当に気をつけたいと思っています。

村に行く時、決して村人の生活(と尊厳)に土足で踏み込まないように。

ツアーを少人数に抑えたり、できるだけ同じ村に戻っていくのはそのためでもあります。

彼らは私たちのいろんな質問に丁寧に答えてくれるし、もてなしてくれます。

手作りのご馳走を用意していてくれたり、わざわざ水牛のミルクを絞りにいってくれたり。


滞在中に受けた彼らの厚意。

それと一緒に私たちには責任が生まれているのだと、自覚しなければ。


Kennedyはこうも書いています。
"Slums will not go away because a few dozen Americans or Europeans spent a morning walking around them. There are solutions to our problems — but they won’t come about through tours."

そうなんでしょう。
そんなに簡単に解決策なんて生まれないし、
第一、外の人間が「あなたたちこうしたらいい」なんて言う権利はないのです。
(たとえ熟慮の上であっても。)

自分たちの限界をわきまえ、彼らの権利・尊厳を尊重した上で、
それでも私たちにできることは何かを考える。

そうなりたいと思います。



2010-07-30

ソーラーエネルギーと社会課題解決

先日ソーラーランタンプロジェクトについてプレゼンをしたところ、
終わった後に、
「ソーラーエネルギーだから環境の話だと思って来てみたけど、そうじゃないんですね。」
と言われました。

確かに、1時間位話して、一度も「二酸化炭素」「温暖化」などの単語を使わなかったかも。

振り返ってみると、最初は(2年前にソーラーランタンプロジェクトを始めたころ)、
私も二酸化炭素が出ないという点に惹かれたのでした。

当時と今、何が違うのだろう?

よくよく考えてみると、インドの農村に行ってみて、優先順位が変わったのだと思います。
ソーラーランタンを使うと、もちろん結果として二酸化炭素は出ないから地球環境にもいいです。

でも、村の人達はそんなことよりも、もっと切実な問題に直面している。

自分自身、そして自分の子どもたちの健康。安全。
(灯油ランプの煤や煙で気管支炎になったり、炎でやけどしたり)

暗くなってからでも子どもが勉強できる。
それは将来のチャンスが広がることにつながる。

そして夜、仕事ができるようになると収入が増える。
家族の暮らしがよくなる。子どもにもっと教育を受けさせてあげられる。

私達が日本であまりにも当たり前に享受していること。
でも、無電化村では決して当たり前ではないこと。

ソーラーランタンはそういう目の前の課題解決にも役立てる。すぐに。
それがわかって、嬉しくもあり、
同時に社会課題の深刻さにショックを受けたのでした。

そのショックが、わたしを駆り立てる原動力にもなっています。

充電ステーションでランタンを借りた子どもたち

2010-07-27

ビジネスはもともとソーシャルなんです

今日、シードプランニングさんのBOPセミナーでソーラーランタンプロジェクトについてお話させて頂きました。

私の前には、上智大学の岡田先生がBOPビジネスの背景にある世界的な流れから、現在のトレンドまで全体像を講義。(岡田先生には普段からソーラーランタンプロジェクトのアドバイスを頂いたりしているので、先生と同じ場で発表するなんてちょっと緊張してしまいました。。。)

先生は非常に理論的・分析的な視点からアプローチし、
私はとことん具体的な事例を提示した訳ですが、
2人とも同じことをインドで体験していました(!)

それは、インドでビジネスマンと「CSR」「ソーシャルビジネス」「BOPビジネス」といった単語を出して話をすると、
「いまさら何言ってるの?ビジネスはもともとソーシャルでしょ?」
と言われる、という体験談。

インド人は商売、商売って感じでやりにくい、とぼやく人もいますが、
彼ら(特に経営者層)にとって「ソーシャル」は今さら口に出すまでもない、当たり前のことなんですよね。
ただ、同じソーシャルインパクトを、より経済的に達成できた方がいい、と考えている。(これまた当たり前の感覚。)

BOPの人々と隣り合わせで生活し、日々ビジネスを行っているこうしたインド企業と、
日本のオフィスで数字だけでああでもない、こうでもないとBOPビジネスを議論する日本企業。
これではいくらよい技術を持っていても、差は埋められないように思うのですが。

2010-07-15

現代版:士農工商

今日お会いした方が言っていたことで、なるほど!と思ったこと。

20世紀後半からリーマンショックにかけて、
士農工商がいつのまにか逆転していたのではないか。

つまり、社会の中で評価される活動(&価値)の順番が、

商(金融)
工
農
士(志)

になっていたのだと。

言い得て妙だと思いました。

もちろん商(金融)はこの社会になくてはならないものです。
でもそれはインフラ、ツールとしての役割であって、
あくまでも志(ビジョン、ミッション)のために使われるべきです。
逆ではないのです。

社会が、ようやくそういう感覚を取り戻しつつあるように思います。
(どうでしょう、まだかな?)