2010-10-05

か細い声に耳を傾ける

リーダーシップ研修の話、第二弾。

フェロー10名はみなやさしく誠実ですが、なんやかんや言って、それなりに競争意識があり、目的を達成する強い意志の持ち主ばかりです。なにしろ600人近い応募者の中から残った10名ですから。

そういう面々が集まって次のゲームを行いました。

まず円になって座り、全員目隠しをします。
ひとり2-3枚ずつ、変わった形のカードが配られます。(見たこともない入り組んだ形です。)
配られたカードは全部で28枚。2枚欠けている状態です。
与えられたミッションは、その欠けた2枚の形と色を当てること。
各自自分が持っているカードの色をファシリテーターに聞くことができます。
あとは全員で目隠しをしたまま話し合って結論を出さなければなりません。

さあ、ゲームスタート!!

私たちのグループで何が起きたかというと、、、誰がどの形を持っていて、それらが何色か、かなりハイスピードで共有され、効率よく謎解きが進んでいきました。

すべての形と色を確認するまでもなく大体答えは見えてきたな、となったとき、一枚岩に思われていたチームが崩れました。
「もう答えはわかったよ、さっさと答えてゲームを終わらせよう。」という数名と、
「まだ全員の声を聞いていない。自分の形が何か確かめられていない人がいる。」という数名。

実際この時点まででまともに話す機会があったのは4名程度。

私は後者で、何度も声を挙げてはかき消され、それでもしつこく叫んで(!?)、半ば無理矢理、全員が手持ちのカードを確認・共有するまでをやってから、チームとして最後の答えを出しました。(答えは当初予測のとおり。)

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このゲームに限らず、5日間を通して繰り返し現れたテーマの一つが、
Task-oriented vs Process-orientedでした。

前者はタスクをやり遂げること、ゴールに到達することに重きを置く傾向のこと。(例.早く終わらせたい)
後者はタスクを行う過程を重視する傾向のこと。(例.多少に時間がかかっても全員から意見を聞きたい)

BOPビジネスの場合、事業に関わる人が多様です。お客さんも、時には従業員もBOP層で、私たちとは育った環境も価値観も違います。私たちのほうがたくさん情報を持っているし、より多くの教育を受けてきているかもしれない。成功しそうなアイデア(少なくとも表面上は)を持っているかもしれない。

でも、お客さんや地元の従業員なしに、ビジネスは成り立たない。彼らの「か細い声」を(気が向いたときに思い出したように聞くのではなく)、常に聞く姿勢にあることが重要なのではないか。

上記エクササイズで、私はチームの「か細い声」でした。
自分の声がかき消され、まるで存在しないように会話が進むフラストレーションを体験しました。

あのまま自分の声が聞かれることなくエクササイズが終了していたらどうなっていたか?
チームはいずれにせよ正しい答えを出してエクササイズを終えていたでしょう。
でも私はチームとの一体感を失っていたと思います。距離を感じてどんどん離れていったはずです。


結果に反映されようがされまいが、自分の意見も検討のテーブルに乗った(乗る価値があるものとして尊重された)という過程が、結局のところチームのパフォーマンスを底上げするのではないでしょうか。


チームの一人ひとりを尊重し、彼らの声に耳を傾ける。
誰もが声を上げやすいスペースをつくる。
これもリーダーシップの形。

今回の研修で胸に突き刺さる学びの一つでした。

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